2013年6月 3日 (月)

文化財を登る

栃木県某所にて、文化財修復のための実測調査を任されまして、半日小屋裏に身を置いていました。

登り口から、3スパンほど先にあるはずの腐朽箇所の確認のため飛ぶような恰好で梁の上を這いつくばりながら目的の場所を目指すこと数十分(なにせ懐中電灯×3、コンベックス、野帳、一眼デジカメを携えてなので大変なのです)スパン毎に飛ぶような姿勢を保ちながらの実測は久々。
とくに今回の小屋は狭かった。下で座敷を測っていたハブに「小屋裏から聞こえるうめき声、相当でしたねフフフ」といわれるほど。
とにかく終わってふらふらになって地上に降りたら、ちょうどロケに来ていた吉本の芸人さんにばったりで、真っ黒になったスウェットを脱いで記念撮影。
午後は一変、屋根に登って調査。
隅から隅までずずずいな一日。
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梁の上を泳いでいます。
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この隙間をかいくぐって向うまで。
下は天井なので足を付きません
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偶然居合わせた吉本の「栃木県住みます芸人」上原チョーさんと決めポーズ
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名刺をいただきました。
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屋根の上は気持ちがいい。
k

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2013年6月 2日 (日)

迂闊

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近所に『茨城の近代化遺産』に載る洋館があります。

その存在は知っていましたが、長い間使われず、雑木林と高い塀に巡らされてちらりとしか窺い知ることの出来ず、何度か所有者を知る知人を介して内部を拝見させてもらおうと試みたこともありますが、強固に拒否され、お隣のアパートの階段から葉の落ちる冬にちらりと見える姿を撮影することが精一杯でした。
この建物の建つ敷地が他人の手に渡ったと聞いたのはつい最近。きょうランニングの途中そばを通ったら解体工事が始まっていて驚きました。
慌てて家に戻りカメラを持って写真を撮ってきました。
はじめて間近で見るその建物は、大正〜昭和のはじめと思われる意匠。
構造は車寄付き鉄筋コンクリート造階建、屋上と2階にバルコニーやパーゴラのようなものが取り付きます。
建て主は、この地区の資産家で、油絞商などで財を成し衆議院議員でもあった方。
内部は玄関を入るとホール左手に南面したマントルピースとベイウインドウを持った応接室、右手に商売をおこなっていたと見られる部屋とその先に受付カウンターを配しています。
ホール中央は進むと座敷があった形跡から住居部であったらしいことが伺えます。
西側に面し意匠が施された木製階段を上り2階に出るといきなり大ホールがあります。南面した窓の先には広いバルコニーが見えます。
住居のスケールを遥かに超えたそれは、この家が単なるすまいではないことを示しています。
さらに階段を上って、そこは屋上。
一体何のために広い屋上を作ったのか?
どんな暮らしをしていたのか?
早々と取り壊されたり、老朽化して崩れてしまった他の建物との関連も気になります。
とにかく、こうなるまで気付かなかったこと、何も出来なかったことは迂闊でした。
k

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2013年4月29日 (月)

進修館

近くをクルマで通ったので、久しぶりに進修館に寄ってみた。

進修館とは、宮代町にあるコミュニティセンターです。
竣工は1981年、設計は象設計集団team zoo
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当時は、近くにある同じ設計者による笠原中学校とともにたいへんな話題作として雑誌を賑わせていました。
あれから30年、外壁は打放しコンクリートからペンキ仕上げになったようですが、今も元気に進修館は建っています。
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そういえば、当時は「コミュニティセンター」なる、「なんでもできる」と謳って「何するか決まらないままとりあえず用意した」みたいな、こんな施設が各地に出来てきた時代でもありました。
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ところどころ、というより、建物全体にわからないところが多いのもこの建物の特徴。わからない施設にわからない建物の形。
今見ると、とてもお似合いのデザインだったんだと感じてしまいます。
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館内に飾られているプランを現したレリーフ。
室外部分の円弧の回廊から放射状に各部屋が有機的につながる様子が分かります。
ちなみに円の中心部分は広場になっていて憩のスペースとして開放されています。
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ところどころ「無駄」がちりばめられています。
ここは内部に光を取り入れるための隙間になっていて、且つ
階段が付いて下におりることが出来ます。「だからなんだ」といって、何かあるわけでもないけれど、探検をしているようで楽しいんですよ。
昔、各方面から批判されていた山下和正のフロムファースとビルを宮脇檀が「子供が楽しんで遊べるビルは誰が何て言おうといいビルなんだ!と書いていたのを思い出しました。ん〜、いい建物だ〜。
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2階ルーフテラスの「純粋階段!笑」
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とにかく徹底的にコンクリートと木が使われています。
久々にはいりまして、なんだろう、30年という月日がこの建物にますます力を与えているような・・・。
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すきま風びんびんのあまりにもおおらかなディテールも魅力のひとつ。
この雰囲気が全体を支配していることが、あまりにもディデールを詰めすぎてメンテナンスもままならなくなって結果的に短寿命になってしまう公共建築とは一線を画します。
今現在、一般的にコンクリート建造物は永久的に持つなんてことはないということが知れ渡っていますが、今回30年経った進修館を訪れて、この建物に関しては簡単に寿命で測ってはいけない気もしました。それより、見方によってははじめから廃墟のようにできていたので、少しくらい崩れていた方が魅力が増すんじゃないでしょうか、この建物は。笑
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家具もすべて特注。
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各部屋はすべてオモテとつながっている
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宮代町の特産品「ぶどう」のレリーフ
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最近は、その特異なデザインも受けて、コスプレイベントの会場になることもあるらしい。
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楽しくて不気味。
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2階にはカフェスペースもあり、お茶を飲みながらゆったり空間を楽しめる。

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