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2012年7月26日 (木)

ウマレルナクナル

「蝉を捕ったよ」と、自転車に乗った子供がかごの中の地中から出て脱皮したばかりの飛ぶことができない蝉を見せる。数分後、僕は親類の葬儀に参列するために、その親類の家から出る葬儀場行きのバスに揺られている。
享年96歳、ひ孫11人のそのひとに僕はとても世話になった。
中学時代、駅伝県大会の選手に選ばれた直後の練習で捻挫した足を毎日練習後に1時間マッサージしてくれたおかげで、正選手として大会に出場できたのもこの人のおかげ。
ある日、薬局から出てくる姿を目撃して、それが毎日マッサージ後に貼ってくれる湿布薬だと察するのは簡単なことだった。
千波湖で行われた県の駅伝大会は、挫いた足はどうにか走れるまで回復していて、アンカーをまかされた。
結果は散々だったけど、あんなに感謝して走ったことはない。

親類といってもかなり遠い関係の僕になぜそんなに優しくしてくれたのか、今もって不思議で、いつか聞いてみたいと思っていながらなかなか聞けずにとうとう聞きそびれてしまった。

飄々として書や彫刻をたしなみ若い頃は剣の達人として何十人も相手に一人木刀で打ちのめした伝説も伝え聞く。

自宅にはその人の彫った仏像が2体ある。
出来としては褒められたものでないのだが
毎日手を合わせながら、だんだんと引き込まれていくのは、うまさより味が心にしみることを示しているのだろうか。

脱皮したての飛べない蝉を見るたびに、僕は今後あのことを思い出すんだろうな。

加藤

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