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2012年6月29日 (金)

人柄のうつわ

Photo

益子で石膏型を用いた陶器のうつわをつくられている鈴木稔さんのワークショップを経験してきました。

 

少し前に新宿伊勢丹で開催された「かさまましこ展」で実物に接してからむくむくと「稔さんのうつわ」ファンビギナーな僕にとって直接本人から指導を受けて作業工程をなぞれる素晴らしき企画。

しかも、つくるのはボテッとした柔らかなラインがかわいくて美しい稔さん定番のフリーカップ!メートル(古!!)が上がります。

 

会場は「茶屋雨巻」。益子の雨巻山の麓にある自然を満喫しながら食事ができるステキな場所。

特にナポリピッツァが絶品で、今回はうつわ作りの前にピザも食べられるとあってうれしさ倍増なのでありました。

 

ワークショップはまず食事をとりながら参加者(今回は6名が参加)の自己紹介や稔さんが工房の様子をパソコンで見せながら自作についてお話をしてくれるところからスタートしました。

いきなり作業をするのではなくこのように「つくること」について説明をしてもらうことでより一層理解が深まります。

 

稔さんのうつわは石膏型を用います。

普通、型を用いるのは大量生産や画一的なもの作りに適しているように思いがちですが、稔さんの工房で行われている作業はとても手間がかかることが分かります。

そしてその手間は「使う人のことを考えた結果」だと言います。たとえば今回のフリーカップは、飲み口の部分に少し柔らかいカーブをつくってあります。

型を用いるとここが直線的になってしまうので、“手”を入れて口当たり良い形にしていくのだそうです。

話しを聞いてみると稔さんのうつわづくりは理論と実践がとても調和していることが分かります。頭で考え手を使ってまた考えることで完成度を上げること、そしてそれがとても良い結果になる事ってとても難しいことです。

作品をすべて知っているわけではありません。しかし彼の作品はおそらくすべてにおいて使う人の、触れる部分まで考慮した形にこだわっているのでしょう。

 

「うつわには作家の人柄がでる」とは稔さんがワークショップ後に益子の陶芸家故成井恒夫さんのうつわを引き合いに語った言葉です。

“人柄”は良い悪いのほか自分との相性であるとも言います。「数多く並んだ同じようなうつわの中から“好きな”形を選ぶ。なぜそれを選んだのか言葉にできないがしっくりくる好きという感覚」。僕が理解するにそれがすなわち稔さんのいう“人柄のうつわ”です。

稔さんが、敢えて“個性”ではなく“人柄”に注目していることに僕は興味をもちます。

同じように河井寛次郎の型を用いたうつわに出会ったときの話しは、稔さんのうつわにたいする“手の跡を残すこと”についての考えがより理解することができた気がします。

作家はその作家がつくった作品だと分かるようなうつわをつくります。一般にそれは作家の顔として位置づけられます。“人柄のうつわ”はもしかしたらそのようなすぐ分かる個性をもたないかもしれません。

一見凡庸なのに何ともいえない、言葉では表せない形の魅力に惹かれること。

それは“人柄のうつわ”と呼べるかも知れません。

僕が気に入って買ううつわを選んだときに共通する“好き”という感覚もそれなのかも知れません。

 

加藤誠洋

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