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2011年4月 5日 (火)

困った顔の人を救う。

このひとは絶対に賭け事には向いていない。

所員Hが困った顔をして打ち合わせ先の業者から戻ってきた。

打ち合わせ内容を報告中、困ったことは何一つないようで、でも顔が晴れない。

困ったことに、最後に重要なことを伝えるのがいつもの癖で、案の定当たった。

つくづく、勘がいいのに僕は使い場所を間違っているような、重要な場面で使えていないような気がする。

で、話すのをもじもじためらっていたことは、建材の高騰など、震災後の近所の建築屋さんが困っていること。

値上がりだけならまだしも、建材がすべて東北など被災地に送られるのでこちらに建材や設備機器などありとあらゆる「建物を造るのに必要な部材」が突然のようになくなっているらしい。

「県内の建材問屋もつぶれたらしいんです」「どうなるんですかね」

不安の自身たっぷりの所員H。

実際に、震災後の建築業界はかなり厳しい状況になるだろう。

「この地域のことで考えると、地元密着型工務店や職人にとって、仕事があっても材料が入らない状況は、腕はあるほど口下手が多い良質な職人を失う可能性がある。」

「おそらくそんな状況が続けば、若く自由に動ける職人は、需要のある被災地に職を求めて東北に行くだろう。」

「そしてこの地は全国展開するメーカー住宅や工務店の建物が大多数を占めていく...。」

と、近未来のわが事務所の行く末まで想像をし、困った顔の所員H。

確かに不安がるのもわかる。

この僕でさえこの震災で地域の経済はかなり冷え込み流通もうまくいかないだろうことはわかる。たとえばベニヤは震災前より倍近く値上がりをしたらしく、それでも引く手あまたなので「高いから」断ると入荷しないという。

経済や流通に詳しい人がいたら確認したいんだけど、誰がどう見てもこれは異常だ。みんなが異常と思うことは必ず是正される。つまり、ベニヤでいえば品薄や値上がりは一時的で、今後は流通の経路を変えたり取引国を開拓したりして、安定をしてくるはずだ。他の建材や設備機器なども同じ。

ハウスメーカーだって、今回の震災で「地元の大工さんが建てた、メーカーよりずっと安い家でも簡単に壊れずに安心」なことを知った人達を前に耐震性を売りにした営業トークを展開しないだろうし(するとしたら震度8に耐える家ですというのだろうか)そもそも坪単価の高い住宅を不景気の中でこれまでどおり受注できるはずもない。

あまり能天気に構えるのも良くないが、「まあ大丈夫じゃないか」と安心させる。

腕のある人材が多い建築業界は、こんなときこそ創意工夫しながら画一的なことしか出来ない輩を凌駕する力を持っている。

うちでいえば、確かに大変だろうけど、やはり落ち込む必要はない。こんなときこそ、あらゆる条件を克服し挑戦していくのが僕たちの仕事だからだ。

まあ、なんてことを説明したら急にケロッとして見てない内に人のアーモンドを勝手に貪り始めた所員Hを発見し、もう少し不安を煽っても良かったかと後悔した4月4日であった。

僕も賭け事は苦手なのだ。

(いま、僕の酒のツマミ入れ缶には、打ち合わせ先の業者奥様よりいただいたらしいソルトアンドペッパー味の柿の種がHより投入されている。。申し訳ないと思ったのか。。。)

加藤誠洋

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