« 弥生 3月 梅の花 | トップページ | 長崎 現調 スパゲティー »

2010年3月 7日 (日)

建築プロデュース(施工)会社って何?

”ぼくの「住宅設計」案内”で、まず述べておきたいことです。

ここ10年ほどの間に、「建築プロデュース」という会社が数多く誕生しました。

多くは、「建築家」を登録し、その会社が窓口になって宣伝をし、クライアントを集め、要望に沿ってコンペをし、クライアントが最も良いと思う案の「建築家」と家をつくる、所謂マッチングシステムです。

会社としてリスクが大きいなと思うのは、各建築家の能力を担保するのが難しいことです。そもそもわが国の制度にない「建築家」、(ほとんどが建築士の資格を持ってはいますが)建築士のように資格試験でもあれば簡単なのですが、それはありません。建築家協会では、登録建築家という制度を設けています。それをもって「建築家」であるといえるのかもしれませんが、(どのような試験をしたら良いかは判断できませんが)国の資格として認定されたわけではないのでその定義はあいまいなのです。そんなあいまいな「建築家」と言う”自称”肩書きを出し(利用して)会社経営をすること。

そこは、とりあえず「建築家」を建築士の有資格者を前提に登録させることで”担保”と言うことになるのでしょうね。

そんなことを前提に今回話をしたいのは、「そもそも僕たち設計者は誰のために仕事をするのか」という疑問です。

住宅に限っていえば、それは住まい手であり、住まい手を第一優先に進めていくために、僕たちの存在があります。

さて「建築プロデュース会社」です。僕たち設計者にとって突然現れたこのシステムは、あやふやな「建築家」の社会的認知には大変役に立ちました。しかし、その一方で考えなければならないことが多くあります。

まず第一に、僕たち設計者は「建築プロデュース会社」の元で、仕事をするということ。マッチングのみならまだしも、近年は、施工会社がプロデュース会社を兼ねていて、建てるのもプロデュース会社を元請けとする所も少なくはありません。プロデュース(施工)会社とすれば、「建築家」を宣伝塔とすることで、お客様の信頼を得られるし、何より会社のイメージアップとしてデザインのいい住宅を売りにすることができます。

そしてそれは結果的にプロデュース会社の元で仕事をもらい、会社内建築家として設計をすることにもなります。

「建築家」にクライアントを第一優先で守らねばならない大前提があったとしても、プロデュース会社の意向によって、その関係が捻じ曲げられてしまう危険性を孕んでいます。

意志の強い「建築家」は、そんなことをわかった上で、いい仕事をします。でも、意思の強くない僕は、施工先の決まっているプロデュース会社とこれまで仕事をしないことにしてきたし、今後もしないでしょう。以前、そのような会社からお話があったときも、理由を話し、丁重にお断りさせていただいています。

お互いがうまく利用して共存することは悪いとは思いません。そうしたい人はそうすればよい。最終的にそこを知った上で選ぶのはお客様なのだから。                                                        しかし、そもそも、大きな組織に属さず、個人と個人のつながりを大切に扱うためにこの仕事を選んだのに、なんで”クライアントのため”という最も大切なものを”担保”に仕事をしなければいけないのか、僕にはわからない。

このままでは、プロデュース会社にみんな取り込まれてしまい、自分の家を建てるときに、そのようなことに疑念を持つ人が、ぶつける先がなくなってしまいかねません。それならまだしも疑念すら起きない社会になって、個人設計者の方向性を変えてしまう危険性まで孕んでいます。

加藤誠洋

|

« 弥生 3月 梅の花 | トップページ | 長崎 現調 スパゲティー »