建築学会の機関紙『建築雑誌』今月号の特集は”「廃校再生」の条件”。本年度発行予定の建築士会まちづくり委員会が作成する『常陸の国のむかしの家 』大子町担当の僕は大子町の「廃校利用」を取り上げる予定なので非常にタイムリーな企画。
巻頭言によると「過疎化」「都市化」「高齢化」による児童の減少によって2007年までの16年間で4,586校の公立小・中・高校が廃校になっていているという。記事によると推定でそのうちの約6割が何らかの形で再生・活用されているらしい。(『建築雑誌』2009.07”廃校再生」の条件」 日本建築学会)
使われ方はさまざまで、行政が住民サービス施設として開放したり、中には民間が入札によって手に入れて活用している例などがある。
校舎本体に目を向けるとそのほとんどは「高度成長期のベビーブーム時につくり続けた残骸」として廃校になってしまったことが、箱型の鉄筋コンクリート造から垣間見えてくる。
権威ある『建築雑誌』で特集を組む位だから「廃校再生」は”いま”の建築界を考える上でキーワードのひとつになっている、或いはなりうるテーマなのだろう。
大子町の廃校校舎を見るとそのほとんどが昔懐かしい「木造で平屋」、時代でいうと「明治から昭和30年代」である。(大子町教育委員会資料による)全国的に見て現在の廃校校舎構造の主流から外れていると見ていい。
ちなみに大子町における廃校になった小学校の活用例を挙げると。
●町立上小川小学校 過疎化によりS58廃校 集会所として再利用
●町立上野宮小学校 過疎化によりS59廃校 「世田谷おやじの会大子自然塾」として再利用
●町立大沢小学校 過疎化によりS59廃校 集会所として再利用
●町立内大野小学校 過疎化によりS62廃校 集会所として再利用
●町立初原小学校 過疎化によりH7廃校 未利用
●町立上岡小学校 過疎化によりH13廃校 未利用
●町立淺川小学校 過疎化によりH13廃校 通信制高校として再利用
●町立池田小学校 過疎化によりH13廃校 大子町シルバー人材センターとして再利用
●町立槙野地小学校 過疎化によりH8廃校 大子おやき学校として再利用
●町立西倉小学校 過疎化によりH17廃校 大子町教育支援センターとして再利用
全国的に再利用の事例をみても(『建築雑誌』による)少しの例外(芸能オフィスや複合ショップ)はあるものの学校の管理者である行政が公共的な利用をしているのが大部分を占めている構図は大子町でも変わらない。
そもそも「過疎化」による児童の減少で「廃校」となった地区は若い人の居住率が低いのだから、地域住民のサービス施設も運営自体先細りの感はぬぐえない。
大子町の「廃校」には他地域にはない特色として「木造校舎」がある。この「文化的資産」を(町民の活動の場として)今以上に活用できないだろうか。
今回の「冊子」で大子に残る木造校舎を取り上げることは、町の可能性を外部の専門家として提示することでもあろう。

写真は「おやき学校」として再利用されている旧町立槙野地小学校
加藤誠洋